アスベスト(石綿)は、繊維状の天然鉱物です。アスベストの繊維は非常に細く、一本の太さは髪の毛の5000分の1くらいです。熱や薬品に強く摩耗に耐えるなどの特性があることから、燃えない「奇跡の鉱物」といわれ、建設、造船、鉄道、発電所、製鉄所をはじめ多くの産業で建設資材や工業材料として使用されてきました。
しかし、アスベストの繊維を吸い込むと、肺の奥にまで入り込み、数十年後にガンになる恐れがあることが分かっています。例えば、悪性胸膜中皮腫(胸膜の中皮細胞から発生するガン)では、潜伏期間が40年前後で発症する事例が多いことが報告されています。吸っていたことを忘れた頃に発症するため、アスベストは「静かな時限爆弾」と呼ばれて恐れられています。2005年以降、毎年1000人前後の人々がアスベストによって肺ガンや中皮腫になったとして労災認定されています。